徒然草第六十六段 後編【エモ訳】プロのこだわり、細かすぎ

徒然草

徒然草第六十六段後編はこだわりっぷりと、兼好さんの「そこ気になるんだ!?」な疑問を見ていくよ。

プロって、見えないところまでこだわりがすごくない!?

前編では、大臣の華やかな注文を「そのやり方は知りません」とバッサリ断った、鷹飼のプロ・武勝。

でも、ただ自分のやり方を貫いているだけじゃなかった!

武勝には武勝なりの、細かすぎる職人ルールがあったんです。

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徒然草第六十六段(後編)の原文

職人のマニアックなマナー語りと、兼好さんの考察を見てみよう!

武勝が申し侍りしは、柴の枝、梅の枝、つぼみたると散りたるとにつく。五葉などにもつく。枝の長さ七尺、或は六尺、返し刀五分に切る。枝の半に鳥をつく。つくる枝、踏まする枝あり。しじら藤のわらぬにて、二ところつくべし。藤のさきは、ひうち羽の長にくらべて切りて、牛の角のやうにたわむべし。初雪のあした、枝を肩にかけて、中門よりふるまひて参る。大みぎりの石をつたひて、雪に跡をつけず、あまおほひの毛を少しかなぐり散らして、二棟の御所の高欄に寄せかく。禄を出ださるれば、肩にかけて、拝してしりぞく。初雪といへども、沓の鼻のかくれぬほどの雪には参らず。あまおほひの毛を散らすことは、鷹は、よわごしをとることなれば、御鷹のとりたるよしなるべしと申しき。

花に鳥付けずとは、いかなる故にかありけむ。長月ばかりに、梅の作り枝に雉を付けて、君がためにと折る花は、時しもわかぬといへる事、伊勢物語に見えたり。つくり花はくるしからぬにや。

徒然草第六十六段(後編)の単語解説

今回は鷹に関する専門用語がいろいろ登場。

全部覚えなくても大丈夫だけど、ここだけ押さえておこう!

  • 五葉(ごよう):五葉松のこと。
  • 返し刀五分:枝の切り方についての記述。五分は長さの単位で、約1.5cm。
  • 雨覆(あまおおい)の毛:鳥の翼などを覆う羽毛。
  • 作り枝:本物の枝ではなく、作り物の枝。

徒然草第六十六段後編のエモ語訳

徒然草第六十六段後編のイメージ

職人のマニアックな解説と、兼好さんのツッコミを読んでみよう。

武勝のこだわり、もはや職人魂が強すぎる

前編で、大臣の注文をバッサリ断った武勝。

でも、鷹を飾る枝については、めちゃくちゃ細かいルールを持っていました。

枝は柴の枝でも梅の枝でもOK。五葉松でもいいし、花が咲いていても、散っていてもいい。

…と思ったら、枝の長さは七尺か六尺。切り方にも決まりがあって、鳥を付ける位置まで指定されている。

え、枝なら何でもいいんじゃないの!?

いやいや、ちゃんと細かい決まりがあるんです。

そして、初雪が降った朝。武勝は鳥を付けた枝を肩にかけて、宮中へ向かいます。

ここでも、こだわりが炸裂!

庭の石を伝って歩き、雪の上に足跡を残さないようにする。

さらに、鳥の羽毛を少し散らしておく。これは、鷹が獲物を捕らえたことを示すためなのだそうです。

足跡は残さない。でも、羽毛は散らす。

…演出が細かい!

しかも、初雪の日ならいつでも行くわけじゃない。

靴の先が隠れないくらいの雪なら、そもそも参上しない。

いや、そこにも基準があるんかーい!

初雪という風情だけじゃダメ。雪の深さまでチェックするなんて、武勝の仕事、こだわりが細かすぎる!

ところで、花の枝に鳥を付けちゃダメなの?

そして、話を聞いた兼好さんは、ここでふと疑問を持ちます。

「花の咲いた枝には、どうして鳥を付けないんだろう?」

『伊勢物語』には、九月ごろ、梅の作り枝にキジを付けて、相手のために折って持っていく話が出てきます。

花の季節じゃなくても、梅の花を楽しめるようにした作り物の枝に、鳥を付ける話です。

本物の花が咲いた枝はダメなのに、作り物の枝ならいいの?

兼好さん、そこが気になっちゃうんだ!?

武勝の職人ルールを聞いたあとに、今度は花と鳥の組み合わせが気になり始める兼好さん。

この人、職人のこだわりを聞いて終わりじゃないのが、なんかいいよね。

徒然草第六十六段(後編)で言いたかったこと

徒然草第六十六段後編のイメージ3

武勝の話は、枝の種類や長さ、鳥を付ける位置だけじゃなく、雪の上の歩き方や、参上する雪の深さまで細かく決まっている。

鷹を扱うプロの世界には、外から見ただけでは分からない作法がいろいろあったんだね。

そして兼好さんは、そんな話を聞きながら「花の咲いた枝に鳥を付けないのは、どうして?」と、別のところが気になってしまう。

細かい職人ルールも気になるけど、そこに引っかかる兼好さんも、なかなか味わい深い。

私ならこう思う

徒然草第六十六段後編のイメージ2

雪の上に足跡を残さないように歩いて、羽毛まで散らして演出する。

しかも、雪の深さにも条件あり!

いや、こだわり細かすぎない!?

現代で言えば、SNSに載せる写真のために、光の角度から小物の配置まで徹底的に調整する人みたいな感じかな?

こだわり癖が強い人って、いつの時代にもいたんだね。

ちなみに、こだわりが強い人との接し方について書かれている本を探すときにはYomeru(ヨメル)がおすすめです。

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